是枝裕和は生い立ちのエピソードを作品「海よりもまだ深く」に込めていた

映画監督として世界でも
評価されている是枝裕和

2018年5月には
ついに「万引き家族」にて
第71回カンヌ国際映画祭で
日本人として21年ぶりに
最高賞であるパルムドールを受賞。

そんな是枝裕和監督は
自らの生い立ちの
ささやかなエピソードを
少し前の作品
「海よりもまだ深く」で
明かしています。

今回はそんな是枝裕和監督が
「海よりもまだ深く」に
込めた生い立ちの
エピソードなどについて
みてみましょう。

 

■是枝裕和監督と「海よりもまだ深く」

是枝裕和監督は「誰も知らない」
「そして父になる」
「海街diary」、そして
「海よりもまだ深く」などと
家族をテーマにした作品が多い監督。

その中でも特に思い入れのあるのが
「海よりもまだ深く」。

もし是枝裕和監督がしんだ後に
神様やえんま様に
「お前は外界で何をしたんだ」
と言われたらまっさきに
「海よりもまだ深く」を見せると
まで言い切る作品。

公開日は2016年5月21日で
主演は阿部寛。
母親役は樹木希林。

脚本の一行目に「みんなが
なりたかった大人に
なれるわけじゃない」

という言葉を書いたことを
明かしています。
予告編はこちら。

「こんなはずじゃなかった」と
思っている人物と、
今は老朽化して高齢化も進んだ
団地とを重ね合わせた作品。

 

■生い立ちが散りばめられていた

「海よりもまだ深く」という作品は
是枝裕和監督の生い立ちが
散りばめられています。

もともと是枝裕和監督は
平野の二軒長屋に住んでおり、
風呂は父親が割った薪を使い、
共同の井戸を使っていました。

そのようなこともあり是枝裕和監督は
団地に住むことになって
わくわくしたというのが原点。

そうして是枝裕和監督は
清瀬市の旭が丘団地に
9歳から28歳の頃までの
およそ20年間
団地に住んでいました。

そして撮影をしたのも
実際に住んでいた団地で
同じ間取りの3DK。

映画撮影時には当時の友人の
家族などが住んでいて
声をかけられることもあったとのこと。

是枝裕和監督の生い立ちで
実際にあったエピソードは
以下のように映画の中で
ちりばめられてもいます。

■台風が来る夜に
樹木希林が窓から楽しげに外を
見ているのも実際の母親の記憶。

「(以前の家と比べて)
台風が来ても安心」
「台風来ないかな、
台風大好き」
と言っていた。

■台風の夜に公園の
すべり台の下で
お菓子を食べた。

■外出する際に鍵を
どこに置くかも実際と同じ。

■主人公らが母のところに
泊まる事が決まると
母親が風呂場でハンドルを
ガチャコンガチャコンと
回して点火をする。

これは実際に自分が
実家に泊まった時に
実家の風呂に入る、

つまり泊まっていくことを
母親が喜んでいた
記憶があったため。

また、是枝裕和監督の父親も母親も
是枝裕和監督がこの仕事で
やっていけそうだということを
見る前になくなっているため

心配をかけたままだったとの
後悔もあり、間に合わなかったという
思いが強いという。

■おわりに

ちなみに是枝裕和監督は
自らも「なりたかった大人」に
なれなかった人物だとしています。

是枝裕和監督が
なりたかった大人とは
「休日には家族を連れ
車でキャンプに行くお父さん」
だとしていますが

なれなかった理由については
以下の通り。

免許がない
テントが張れない
火が起こせない
そもそも料理もしない

また、前述のように
是枝裕和監督は
2018年5月に「万引き家族」で
カンヌ国際映画祭で
最高賞のパルムドールを受賞。

そのため「万引き家族」
への思い入れもかなり
強くなったと思うのですが

自分がなくなった後に
神様や閻魔様に見せる作品は
「万引き家族」と
「海よりもまだ深く」の
どちらになるのでしょうか。