東京福祉大学の学長として復帰をした中島恒雄。過去に実刑判決を受けていますが、その一因は東京福祉大学の創設者であり権力が集中していた事が問題とされていました。
東京福祉大学側は文部科学省に「中島恒雄を運営に関与させない」と報告をしていたものの、結局東京福祉大学の総長へと復帰をした事で過去の発言と整合性が取れないとして調査に乗り出した事が明らかに。今回は中島恒雄が東京福祉大学の総長に復帰をした経緯などについてみてみましょう。[affi id=4]
中島恒雄の復帰
出典:東京福祉大学・総長・学長メッセージ
中島恒雄が東京福祉大学および大学院の学長に復帰をしたのは2020年11月20日。東京福祉大学の公式サイトでは2020年12月7日に「総長・学長就任のお知らせ」として中島恒雄の復帰を告知。この中島恒雄の学長としての復帰が問題視されていました。
逮捕後に総長辞任
中島恒雄は2008年1月21日に逮捕をされました。逮捕理由は前年である2007年2月に40代の女性教員を呼び出して体を合意なく触った疑い。
また、実は1997年時点でも中島恒雄が経営していた専門学校にて女性講師に乱暴をしようとしたことで逮捕歴が。このときは示談が成立して起訴猶予にはなっていましたが、2008年の逮捕で総長を辞任。後任となる理事長は中島恒雄の母親。
そしてその後他の容疑でも再逮捕をされて2008年10月30日に懲役2年の実刑判決。東京福祉大学は2008年6月に「学長と法人理事長を分離する」とした上で中島恒雄の服飾を認めないとする再発防止策を公表。
文部科学省も中島恒雄を運営に関与させないように求めるも2010年7月に中島恒雄は再び東京福祉大学の事務総長に就任。契約を結ばずにコンサルタント料として約1941万円を支払っていたとのこと。さすがに3ヶ月後の9月に退任をしましたが東京福祉大学側は「事件以降一切関与させていない」と反論。
私立学校法ですと禁錮以上の刑をうけた場合は学長に就任することができません。しかしこれは刑期満了をして10年経過すると刑の言い渡しは効力を失います。その刑期満了から10年が2020年10月24日であり、効力を失って僅か1ヶ月で東京福祉大学は中島恒雄を復帰させたという事になるので法的には問題ないのですが…。
東京福祉大学側は2019年2月に中島恒雄の契機満了10年経過のタイミングで復職させると伝えたものの文科省が指摘してこれを撤回。撤回はしたもののこの復帰の速さは当時から面従腹背だった事に。
東京福祉大学はこの理由について「中島氏の強いリーダーシップを求める声が自然発生的に上がった」「(中島恒雄は)余人をもって代え難く、宝の持ち腐れになってしまう」とコメントをしたとの事。
2019年3月26日のAERAによると東京福祉大学には2018年4月から校歌の2番と3番を歌うように指示が出されたとのことですが、その中に「学び舎に 中島恒雄 理念満ちて」という歌詞が存在。これを中島恒雄のリーダーシップを求める強い声としている…?
中島恒雄は刑期満了してから10年は罰金以上の刑を受けていないとの事なので、同じ過ちは繰り返さないのかもしれません。それなら文科省にも最初から復帰に至る経緯と再発防止策を事前に話し合っておけば復帰が強行なものであるという印象は薄まったと思うのですが。
ガバチョ発言
中島恒雄と東京福祉大学が注目されたのはこの時だけではありません。それは2019年4月に大量の留学生が行方不明になっていた事が明らかになっていた件です。
東京福祉大学は大量の留学生を「研究生」として受け入れていました。しかし2016年度から2018年度にかけておよそ1610人の留学生が行方不明になっています。何故こうなったかと言うと2011年9月に行われた会議での中島恒雄の発言から明らかに。
- 2000人ぐらい(研究生等を)集めようと思ってる。
- 4年間やれば今の勝手な資産だけど120億の金が入る。
- そしたらガバチョガバチョじゃん。
一体どういうことかと言うと、東京福祉大学が独自に作った「学部研究生」という枠が問題とされています。東京福祉大学の研究生という枠は他の学部のように定員をもうけずに書類選考と面接で留学生を受け入れていました。
その受入具合はキャパシティを超えるほであり、サポート体制が不十分であったとの指摘。実際に2019年7月には東京福祉大学系列の「保育・介護・ビジネス名古屋専門学校」はなんと定員640人の7.4倍の4739人が在籍していた事が明らかになりました。
また、日本共産党は留学生不明者を精査すべきだと2019年3月に発言もしています。
ちなみに2016年2月19日に文部科学省は東京福祉大学に「設置計画履行状況等調査」の件で唯一警告を出しています。他の大学は「是正意見」でした。内容は以下の通り。
教育課程の改善として授業科目を大幅に変更しているが、過年度入学者が履修した科目が学則上から削除されており、経過措置や読替規定も存在していない。学生への説明は実施しているとの説明であったが、既修得科目の読み替え等が学則等で明確に規定されていないのは不適切である。旧課程の履修者に対応した適切な規定を設け、学生に対して十分に説明すること。(教育学部教育学科、教育学部教育学科(通信教育課程))
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田嶋清一教授と争い
また、中島恒雄は実は東京福祉大学の心理学部教授の田嶋清一とも争いが…。経緯としては東京福祉大学サイドが田嶋清一に対して2011年10月に雇い止めを通告。田嶋清一は雇い止めは無効だと訴訟すると
なんと東京福祉大学サイドはパワハラ、セクハラを行ったとして懲戒解雇を通知。更には懲戒解雇理由を他の勤務先であった健康管理センターなどに告知した事。
しかし田嶋清一がハラスメントを行ったという事実はないとして東京地裁、高裁は判決を下し懲戒解雇は無効。さらに東京福祉大学サイドが田嶋清一がハラスメント行為をしたと触れ回ったことは名誉毀損であるとして田嶋清一が2015年11月12日に東京地裁に提訴しました。
その後に大学側から労働条の和解案が出されて2016年3月29日には和解が成立。これにより田嶋清一が提訴していた名誉毀損による損害賠償請求は取り下げられました。この和解には「田嶋清一名義のホームページの内容をと取り下げる」と言った条件でした。
しかし再び争いの火種
しかしこれでは終わりませんでした。東京福祉大学サイドは2016年4月5日に新たな損害賠償を請求。さらに2016年10月6日には翌日から始まる秋学期授業を突如として取りやめ。
その理由は「田嶋清一のサイトに裁判関連の記事を掲載していた」との事。田嶋清一サイドとしては損害賠償請求訴訟は報復的なものであると考え、その反論の必要から掲載していると主張。詳しい経緯については「田嶋心理教育相談室」の東京福祉大学事件という項目で見ることが出来ます。
また、田嶋清一教授は2018年3月31日に東京福祉大学を定年退職。東京福祉大学の留学生の大量失踪について2019年4月10日に会見を開き、留学生の大量失踪は東京福祉大学の元総長である中島恒雄が金儲けのために大量に受け入れていたのが原因であると主張をしました。
中島恒雄の「ガバチョガバチョ」発言の録音データを公開したのも田嶋清一教授。また、田嶋清一教授の公式サイトの2019年4月11日のブログでは記者会見で配布しそびれた参考資料というものも存在。
中島恒雄と東京福祉大学まとめ
- 中島恒雄が契機満了して10年1ヶ月で学長復帰。
- 東京福祉大学では過去に1600人以上もの留学生が行方不明に。
- 2000人ぐらい集めれば120億入る、ガバチョガバチョだとお金目当てで大量に入れたととれる録音が存在。
- 録音データを公開したのは田嶋清一教授。
- 田嶋清一教授は東京福祉大学と争いがあった。
今回の東京福祉大学の中島恒雄の復帰で一番被害を被ったのは、名前が似ている東京福祉専門学校でしょう。
出典:東京福祉専門学校
東京福祉大学と名前が似ているため混同されて問い合わせが殺到したのか2019年6月に怒りのお知らせ。東京福祉大学は2000年に設置された大学なので東京福祉専門学校のほうが歴史が古かったりします。