長崎市青山町の団地内の私道が通行止めに。理由は私道の権利者が不動産会社に変わったため。それだけを聞くと不動産会社が横暴であるかのような印象を受けてしまいますが、どちらかというと不動産会社の言い分に理解を示す人の方が多いようで…。
今回は長崎市青山町が通行止めとなったこと、不動産会社と対立構造で議論が活発になっていることについてみてみましょう。[affi id=4]
長崎市青山町の通行止めの場所
長崎市青山町の通行止めの場所はGoogleMap及びストリートビューによると以下の場所となります。
場所は長崎市の西部にある青山町の団地内の私道。青城公園にほど近い場所です。この長崎市青山町の通行止めによる影響はおよそ100世帯以上であるとのこと。 [affi id=4]
長崎市青山町の通行止めの経緯
もともと長崎市青山町付近は1960年代後半に開発。そして転機となったのが2018年11月。それまで所有者であった業者の会社整理により私道の所有者が福岡県の不動産管理業者に変更。その結果不動産会社は2019年3月に長崎市に「寄付するので市道に」と申し入れ。
しかし長崎市は「私道を市道と認定する条件が整っていない」として「寄付には整備が必要」と拒否。不動産会社はそこまでお金はかけられないとして寄付を取りやめ。
その結果不動産会社は今度は長崎市青山町の自治会に3000万円で土地を購入しないか、と持ちかけるも拒否。そのため2019年夏頃から車両の通行料を住民に請求。
2019年9月に入ってからは通行料の支払いがなければ長崎市青山町の通行止めを決行すると通達し、2019年10月2日にバリケードを設置して通行止め。2019年10月3日には長崎市青山町の住民が通行止めの撤回などを求めて長崎地裁に申し立て。この長崎市青山町の不動産会社が通行止めをしたことは全国ネットで大きく話題に。
今問題になってある長崎市青山町の私道。土地所有者変更により長年地域住民が使用していた道ではあるが通行料を要求。一部報道によると、この土地所有者から長崎市に対し私道の「譲渡」を持ちかけるも長崎市が拒否。そのため地域住民に維持保全と万一の補償積み立てのため通行料を取るとの流れのよう。 pic.twitter.com/dOgLltjpZF
— しょうちゃん (@coca_chee) October 2, 2019
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不動産会社のバリケードが撤去命令
2019年11月14日、不動産会社のバリケードに撤去命令が。住民側の代理人弁護士は記者会見をして「主張が認められて安堵している」とのこと。不動産会社が仮に7日以内にバリケードを撤去しなかった場合は不動産会社が費用を負担した上で撤去させることが出来るとのこと。
不動産会社の言い分
長崎市青山町の不動産会社が通行止めをした理由について、維持費がかかること、万が一の事故が起きた時に責任問題が浮上することなどを理由として挙げています。また、不動産会社の立場にたって考えると以下のような流れとなります。
2018年11月 | 土地の所有者になる |
2019年3月 | 長崎市に土地の寄付を申し出るも拒否される |
2019年3月以降 | 自治体に土地の買取を持ちかけるも拒否される |
2019年夏 | 車両の通行料を支払うように要求する |
2019年9月 | 車両の通行料を支払わなければ法的措置を取ると通知 |
2019年10月 | 通行止めをする |
こうみると不動産会社側は次の行動に移るまでは時間的に猶予を持って行動をしています。 また、不動産会社は私道の通行料として車を持つ世帯は月1万円。持たない世帯は月3000円を求めていたとしています。[affi id=4]
そもそも何故長崎市は寄付を断ったのか
今回問題となっているのが長崎市が何故私道の寄付を断ったのかということ。もともと長崎市は一定の条件を満たした私道のみ寄付を受け付けています。そのため、その「一定の条件」を満たすために土地の所有者がお金をかけて整備をしなければいけません。
今回の通行止めされた長崎市青山町の私道は条件を満たすためには数千万円単位でお金がかかる可能性も。そのため不動産会社は寄付を諦めました。しかし実は長崎市は、市道に認定されるための整備費用については「9割の助成金」を出す制度があります。
しかし長崎市はこの制度について「業者に寄付の意思がない」と判断をして説明をしなかったことが明らかに。
長崎市青山町の不動産会社の通行止めに対する反応
ぱっと見で考えると(タイトルなどだけで流し読み)不動産会社の対応に疑問を持ちがちですが、経緯を見てみると一概に不動産会社が悪いとは言えず。そのためどちらかというと不動産会社よりの意見が多かった印象です。そんな長崎市青山町の通行止めに関するネットの反応はこちら。
- 自治体が買えばいい
- 月1万は正直きつい
- 金額が妥当かはわからないけど不動産会社の言い分に理がある
- 命に関わるなら金を払えばいい
- 長崎市が最初から助成金の話してればここまでこじれなかったんじゃ
- 長崎市が買い取れば良いし、無理なら自治体で買い取れば良い
- 今まで厚意だか温情で無料だっただけだよな
- 駐車場なみの料金はやりすぎじゃない?
- 9割は市の助成金、1割は自治体の負担で寄付が一番良かったでしょ。
不動産会社の言い分の方が正しい気もしますが、かといって長崎市青山町の住民も急に言われても…と考えてしまうのは分かる気がします。とはいえ、夏に通行料の支払いを求めて2019年10月までそれに対する反応は特になかったものの、通行止めをされて翌日に長崎地裁に申し立てるのは…。
話し合いをしているものの単純に報じられてないだけなのかもしれませんが、もう少し早くから不動産会社と協議をするなりしておけば良かったのに、と思ってしまいます。
長崎市青山町の自治体に買取を打診した時には3000万円を不動産会社は要求したようですが、100世帯に影響が出るとのことで1世帯30万円。確かに急に払うには辛い金額。しかし長崎市が9割助成金を出せば残りは300万円。それを100世帯で負担して1世帯3万円程度にすれば一番丸く収まるのでは…?さすがにそのくらいでしたら大きな負担にはなりませんし。