福山哲郎の国会質問が炎上。編集だ等との声も実際は?

ニュース

立憲民主党幹事長の福山哲郎議員。2020年5月11日の国会質問にて政府の専門家会議の尾身茂副座長についての質問が失礼であるとして炎上。ツイッターにて「#福山哲郎議員に抗議します」というハッシュタグが拡散してトレンド一位になってしまいました。

しかしこのハッシュタグ拡散のきっかけとなった動画については編集されたものであり誤解を招くという声もネット上ではあります。では実際はどのようなやりとりだったかについて動画などを確認してみましょう。

福山哲郎の国会質問炎上経緯

出典:立憲民主党Youtube

まずは「#福山哲郎議員に抗議します」というハッシュタグが何故生まれたのか。こちらは政治系の情報を発信するアカウント「Dappi(@dappi2019)」のツイートした動画が発端であるとされます。フォロワーは9.6万人で現政権寄りのスタンス。

そして2020年5月11日の参院予算委員会にての動画の一部とDappiが要約したツイートがこちら。こちらの動画の再生回数はおよそ370万回、約2万RT、4万いいねを獲得。

こちらの尾身茂副座長と福山哲郎のやりとりのツイートを見て福山哲郎に批判が殺到。そして「#福山哲郎議員に抗議します」というハッシュタグが生まれ現時点(2020年5月13日6時時点)でおよそ36万ツイートでトレンド入りしたという経緯。

また、「#尾身先生を応援しよう」という平和的なハッシュタグも生まれてこちらも約5万ツイートでトレンド入りを果たしています。

実際はどうだったのか

しかし上記ツイートのやり取りは要約という名のDappiのフィルターがかかっています。このあたりは正直仕方ないことではありますが…。このような場合は実際のやりとりについて見るのが確実であるので複数の動画でも該当箇所を確認してみましょう。

流れとしては福山哲郎が尾身茂副座長に対して「じゃあ尾身先生、10倍いる可能性も、否定はできないし肯定もできないんですよね?」と話して尾身茂副座長が答弁に呼ばれるといった形。まずはTHE PAGEの動画。およそ34:34時点から該当箇所。

次に立憲民主党の石垣のりこ議員のYoutubeの動画。こちらは42:21頃から該当箇所。

福山哲郎らが「何指導してるんですか!何答弁に…」等と声を荒げているのは尾身茂副座長が移動中。安倍首相が何か発言をしていてそれに対しての声。

つまりはDappiのツイートの「恫喝もする」というのは動画を見れば分かるように別に声を荒げてはいるものの、対象者は別に尾身茂副座長ではありません。

元動画でも声は確認できますけれど、安倍首相の発言が入ってないので二人の間のやりとりという先入観を持っているとミスリードをしてしまいがち。

二人(むしろ安倍首相と?)のやりとり

まず基本的に動画は答弁している人の音声しか拾いません。元ツイートではツイッターの文字数の制約上、要約してしまいがち。

または思想的な面も多少影響するかもしれません。そのため以下に私が要約した文章を記述しますが、あくまでも私のフィルターを通したものであるため、より正確な発言、声のトーンなどは元動画を参照するのが一番である事を念頭において下さい。まず動画の少し前からのやりとり。

  • 尾身茂副座長
  • 「10万人というのは統計学」
  • 「今報告されているよりも数が多いのは間違いない」
  • 「10倍か15倍か20倍というのは誰もわかりません」
  • 福山哲郎
  • 「大阪で抗体検査1%、神戸3%東京は6から8」
  • 「当てはめれば少なくとも10万人じゃくだらない」
  • 「感染の数が今の1万5千ではないということは間違いない」
  • 「総理、今の認識共有されてますよね?」
  • 安倍首相
  • 「我が国の感染者の数については5月4日の専門家会議の分析でPCR検査数は他国と比較して少ないのは事実」
  • 「検査陽性率は諸外国と比較して十分に低くなっている」
  • 「PCRで確定している感染者の数より多いんだろうと考えている」
  • 「どれくらいかという確たる事は申し上げられない」
  • 「一方で国民の皆様に誤解を与えてはいけないので検査陽性率について申し上げた」
  • 福山哲郎
  • 「誤解を国民に与えるつもりは有りません」
  • 「専門家会議に出席する尾身先生が否定はされなかった」
  • 「では総理はどれくらいいると思っているんですか」
  • 安倍首相
  • 「感染者がどれくらいいるかと、先ほど尾身先生も確たる事は言えないとおっしゃられた」
  • 「今私に聞いて何人と正確な数字を言うとは考えておられないんだろうと思います」
  • 「そこで陽性率と見ればそれほど高くない」
  • 「基本的に大切なのは医師が必要と思う方にPCR検査を受けられるようにするのが大切」
  • 福山哲郎
  • 「全国では相談件数が100万を超えた」
  • 「PCR検査の件数はわずか6万弱」
  • 「無症状、軽症の方が地元の京都でもお見舞いに来た方から病室4名に感染した」
  • 「無症状、軽症の方を補足しないでどう対策を出来るのか」
  • 「尾身先生、10倍いる可能性も、否定はできないし肯定もできないんですよね?」

と、ここあたりまでがツイッターに拡散されている動画の前の流れ。かなりはしょっても十分に長いですね。

尾身茂副座長の発言を遮っていたのは事実

福山哲郎の質問に対しての尾身茂副座長の発言は以下の通り。途中で福山哲郎が何度か「短くして欲しい」と要請をしています。

  • 「東京都である程度しっかりした分母、分子で7%という数字が出た」
  • 「専門家委員で5月4日に…」
  • (福山哲郎:先生私の言ってることに答えて下さい)
  • 「わかりました、それでですね、みなさんに…」
  • (福山哲郎:時間ないです)
  • 「わかりました」
  • 「不完全な中でも検体数が上がってるなかで陽性率が東京では例えば7%」
  • 「7%という数字に引っかかってる人もいる」
  • 「実は日本の場合には医療機関に行く人は普通のコミュニティの人より…」
  • (福山哲郎:10倍はおっしゃる通り、先生が言われたんだから。ちょっと短くして下さい)
  • 「はい、わかりました」
  • 「医療機関にかかってる人をピックしたのが7%です」
  • 「一般のコミュニティのリスクは医療機関の人よりも低いと考えるのが普通」
  • 「そうすると仮に東京が7%の陽性率だとすると地域のコミュニティの一般は7%を超えることが無いと考えるのが今の所常識」

この尾身茂副座長の発言に対して福山哲郎は「全く答えていただけませんでした」「残念です」と発言。このあたりについては二人の認識の違いという印象。

福山哲郎はあくまでも「感染者が実は10倍いる可能性」を質問していて、ぶっちゃけるとイエスかノーの答えしかほしくなかったと見られます。

ただ、尾身茂副座長は専門家の立場であるために「感染者は把握している数より多いではあろう」としか言えなかったというか。

そのためこの時に「把握している数字より多いのは事実」「しかし実際の数字は誰にもわからない」と答えていればよかったのかなと。個人的にはなぜ福山哲郎が10倍という数字に拘るか不明。

定例会見で遮った理由を語る

このように賛否両論あった福山哲郎の質問。翌日12日の定例会見にて何故話を遮ったのかについては「時間の制約があるので本質的な質疑のため」と答えています。また、尾身先生について経緯を持ち質疑をさせていただいたとも発言。

ネットでは双方が激論?

Dappiのツイッターアカウントは度々ツイッターにて話題になります。個人的には当初話題になったDappiのツイート内容については要約にしても少し色が付きすぎかなと思います。そのほうが話題性があるためなのでしょうけれど。

動画の前を見るとどちらかというと福山哲郎と安倍首相がやりとりをしており、その後に尾身茂副座長の説明があったという流れ。

ただ福山哲郎は尾身茂副座長に「無症状・軽症患者は10万以上いるかもしれない」という発言だけが欲しいように感じました。なにせその後福山哲郎は以下のように今後の基本方針についてこうすべきだ、と準備をしていたわけで。

出典:2020年5月11日国会

つまりは自らの基本方針の正しさを権威付けするために専門家である尾身茂副座長の「無症状・軽症患者は10万人いるかもしれない」という発言を引き出したかったのでは?と推測されます。地元での症例を出したこともそう考えると納得。